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相続財産とは?対象となるもの・ならないもの、みなし相続財産の詳しい説明

遺産相続が発生したとき、最初に直面する課題は「何が相続財産になるのか」という問題です。

相続財産には預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産も含まれます。

さらに、一見すると相続財産に見えない「みなし相続財産」や、逆に相続財産に含まれない墓地・仏具などもあり、その区別は意外と複雑です。

相続財産の調査は迅速に行う必要があるでしょう。

相続放棄の手続きには3か月という期限があるため、負債が資産を上回る場合は早めの判断が求められます。

また、名義預金や相続時精算課税制度を利用した贈与財産、死亡前3年〜7年以内の贈与財産なども相続税の対象となるため、見落としがないよう注意すべきです。

相続財産の分配方法は、遺言状の有無によって大きく変わります。

遺言状があれば基本的にその内容に従いますが、遺留分という法的に保護された最低限の取り分も考慮する必要があるでしょう。

遺言状がない場合は、法定相続分に基づいて相続人全員で遺産分割協議を行うことになります。

この記事では、相続財産の区分けやみなし相続財産について詳しく説明していきます。

相続財産とは

相続財産とは、亡くなった方(被相続人)の死亡によって相続人に引き継がれる財産のことを指します。

ただし、被相続人が持っていた全ての物や権利が相続財産になるわけではありません。

ここからは、相続財産に含まれるものの基本を説明します。

相続財産の範囲を正確に把握することは、相続手続きを進める上で非常に重要です。

なぜなら、相続税の計算基礎となるだけでなく、相続放棄や限定承認といった選択をする際の判断材料にもなるからです。

また、相続人が複数いる場合は、遺産分割協議の対象となる財産を明確にする必要があります。

相続財産は一般的に「積極財産」と「消極財産」に分類されます。

積極財産は相続人にとって利益となる財産であり、消極財産は負担となる財産です。

これらを正確に把握せずに相続を進めると、後になって予期せぬ債務が見つかったり、相続税の申告漏れが発生したりするリスクがあります。

そのため、専門家の助けを借りながら、相続財産の全体像を早い段階で明らかにすることが賢明です。

相続財産に含まれるもの

相続財産には基本的に、良い面でも悪い面でも経済的な価値を持つものが該当します。

つまり、預貯金や株式など、受け継ぐことで相続人に利益をもたらす財産がある一方で、借金やローンなど、逆に負担となる財産も含まれるのです。

そのため、プラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合には、「限定承認」という相続方法や相続放棄を検討する必要があります。

プラスの相続財産(積極財産)

プラスとなる相続財産、いわゆる積極財産には様々な種類があります。

代表的なものとしては以下のようなものが挙げられます。

現金・預金、 不動産・不動産に関する権利、 有価証券、 自動車や家具、宝飾品などの動産、 ゴルフ会員権、著作権など

一見価値がなさそうに見える骨董品なども、実際には高い価値を持つプラスの相続財産である可能性があるため注意が必要です。

マイナスの相続財産(消極財産)

借金、 買掛金、 住宅ローン、 小切手による支払い義務、 未払い税金・未払い家賃・未払い医療費など

「プラスの財産だけが残されていると思っていたら、実はマイナスの財産もかなり多く存在した」というケースもよくあります。

そのため、相続方法を決める前に、プラスとマイナス両方の財産について十分に調査することが大切です。

相続財産の対象外となるもの

相続の対象にならない品目も実際に存在します。

こうした品目は記念品として受け取っても相続税がかからないもの、あるいは相続人が引き継ぐ資格や責任がないとみなされるものです。

具体的な例を見てみましょう。

墓所・仏具・香典・神具など

これらの品目は受け取っても基本的に相続税は発生しません。

このため、存命中に自分の墓所や仏具に投資しておくことは、相続税を軽減する手段としても活用できます。

金銭的価値のない故人の持ち物

故人の思い出の品や書簡など、金銭に換算できない品を受け継いでも相続税の対象にはなりません。

ただし、アクセサリーや高級時計など換金すると高い価格になる品物は相続財産に含まれるため、気をつける必要があります。

年金受給権・生活保護受給権

こうした受給権は、亡くなった方だけに帰属する権利であり、家族などが引き継ぐことはできません。

養育請求権・扶養責任

これらの権利・責任も故人だけに属するものであり、相続財産には含まれません。

ただし留意すべき点として、法律上は相続財産ではなくても、「みなし財産」として相続税が課されるものも存在します。この点については以下で詳しく解説します。

みなし相続財産の解説

「みなし相続財産」とは、一般的な相続や遺贈で引き継ぐ財産ではないものの、故人の死去に伴って受け取ることになる財産のことです。

別の表現をすれば、故人が生前に保有していなかったものでも、その死去によって生じた財産を意味します。

代表的なものには、生命保険の給付金(死亡保険金)や死亡時の退職金などがあります。

このみなし相続財産は、相続税を算出する際の計算対象に含まれるという決まりがあります。 

そのため、相続税を見積もる時には、みなし相続財産も考慮に入れる必要があります。

ただし、生命保険の給付金や死亡退職金については「500万円×法定相続人の数」という控除を適用できます。

相続税の対象となる特別な財産

相続税が課される財産には、見逃しがちな項目もあります。

相続手続きの際には申告漏れを防ぐため、以下のような財産がないか確認することが大切です。

名義預金

表面上は別の人の名義となっていても、実質的には故人が所有・利用していた預金は相続税の対象となる可能性があります。

子どもの名前で親が管理や積立を行っている銀行口座などがこれに該当する典型的な例です。

相続時精算課税制度を使って贈与された資産

相続時精算課税制度とは、簡単に言えば、生前に財産を譲る際の贈与税の支払いを故人の死後まで延期できる仕組みです。

この制度を活用した場合、故人の死後に生前贈与分の税金を納める必要が生じます。

死亡前3年〜7年以内に贈与された資産

相続税対策として生前贈与を行う方は少なくありませんが、故人の死亡前3年以内に贈与された財産も相続税の課税対象です。

ただ、税制改正により2024年1月1日以降に行われた生前贈与については、相続税の課税対象となる加算期間が従来の「死亡前3年以内」から「死亡前7年以内」に延長されました。

ただし、この変更は段階的に適用されます。

具体的には、2024年1月1日から2030年12月31日までの間に行われた贈与については、相続開始前3年を超える4年間分の贈与額から合計100万円を控除した金額が相続財産に加算されます。

そして、2031年1月1日以降に相続が開始された場合には、相続開始前7年以内に行われたすべての贈与が加算対象となります 。

したがって、現在(2025年5月時点)では、2024年1月1日以降に行われた贈与については、相続開始前3年を超える4年間分の贈与額から100万円を控除した金額が相続財産に加算されることになります。

完全に7年分の贈与が加算対象となるのは、2031年1月1日以降に相続が開始された場合です。

相続税が課される財産にはこうした特殊なケースも含まれるため、相続税の申告時には漏れがないよう十分に注意しましょう。

相続財産の調査方法

相続放棄の手続きは、相続が始まったことを知った日から3か月以内に行う必要があります。

この期限を過ぎると、負債が資産を上回る場合でも原則としてそのまま相続することになるため、相続財産の調査は早急に進めることが重要です。

まず故人の通帳や証券口座などの残高や取引履歴を確認することから始めましょう。

これにより、ローンの返済状況なども含めた資産状況の全体像が見えてきます。

また、金融機関から送られてきた通知書・請求書なども重要な手がかりとなります。

役所から固定資産税の納税通知が届いていれば、故人が不動産を持っていたことも判明します。

故人が遺言書などに財産の詳細を記録してくれていれば理想的ですが、全容を把握するのが難しいケースも少なくありません。

相続人が複数存在する場合は、全員で遺産分割について話し合う必要もあるため、財産調査には早めに着手することをおすすめします。

相続財産の分配方法

相続財産の分配とは、故人が残した財産を相続人の間でどのように分けるかという重要な過程です。

この分配方法は、遺言状の有無や法律で定められた相続のルールによって変わってきます。

ここでは、遺言状がある場合とない場合の分配方法について説明します。

故人の遺言状が存在する場合

故人が遺言状を残していた場合、基本的にはその内容に沿って財産を分ける形になります。ただし、ここで重要になるのが「遺留分」という考え方です。

遺留分とは簡単に言うと、配偶者や子どもなど、特定の相続人が必ず受け取る権利があると法的に守られている最低限の財産部分のことです。 

この遺留分は故人であっても侵害することができないため、遺言状の内容がこの遺留分を無視していないか確認することが大切になるでしょう。

故人の遺言状がない場合

遺言状がない状況では、相続財産の分配は民法に規定された法定相続分が財産分割の基準となります。

民法では故人の配偶者、子、親、兄弟姉妹などを法定相続人と定めており、財産を引き継ぐ権利や割合も、それぞれに明確に決められています。

財産分割の際には、これらの基準に従って法定相続人全員で財産分割について話し合い、合意を形成することが求められます。

もし全員の同意が得られない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることも可能です。

各相続人が何をどのくらい相続するか適切に判断できるようにするためにも、どのような財産が相続対象になるのかを理解した上で事前に調べ、その情報をまとめておくことは非常に大切になるでしょう。

おわりに:相続財産の全容把握から始めましょう

相続財産にはプラスとなる資産、マイナスとなる負債、みなし相続財産など様々な種類が存在します。

遺産相続を進める際には、これらの区分を理解した上で故人の財産調査を行い、相続人全員で財産分割について話し合うことが欠かせません。

このように遺産相続で行うべき手続きは複雑で、相続人同士の意見が対立してしまうケースも少なくありません。

こうした理由から、遺産相続の手続きを進める際には専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

千代田悟志税理士事務所は相続を専門とする税理士事務所として、多様な経験と知識を蓄積しています。

相続税に関するご質問だけでなく、相続に関わる様々な手続き全般についても幅広くサポートしております。どうぞお気軽にご相談ください。

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