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タワマン節税とは?令和6年の新ルールと相続税評価額の計算方法を解説

「タワマン節税」は、市場での売買価格と相続税評価額の開きをいかし、相続税の負担を抑える手法です。令和5年度税制改正大綱(令和4年12月公表)で示されたマンション評価の適正化方針を受け、国税庁が令和5年9月28日に「居住用の区分所有財産の評価について」という法令解釈通達で新しい評価方法を定め、令和6年1月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得した財産から適用されることになりました。新しい算定ルールでは、マンションの評価額を求める際に評価乖離率と評価水準という考え方を使います。本記事では、タワマン節税にかかわるマンション評価方法の見直しの内容と、評価額の計算方法を詳しく解説します。

タワマン節税とはどのような手法か

タワーマンション節税(いわゆるタワマン節税)とは、タワーマンションならではの性質をいかす手法です。相続税のもとになる財産の評価額(相続税評価額)を、実際の時価より大きく抑えられます。相続税は財産が多いほど税率が上がる「超過累進課税方式」です。わずかでも相続税評価額を低く抑えることが、節税の要になります。

不動産を買うと節税につながる最大の理由は、相続税評価額が時価より低く抑えて計算される点にあります。土地は公示価格の8割程度を目安とする路線価で、建物は固定資産税評価額で評価するためです。マンションはこの価格の開きがさらに大きく、国税庁の平成30年の調査では、市場価格を相続税評価額で割った乖離率は平均2.34倍でした。現金1億円の相続税評価額は1億円のままですが、1億円でマンションを買えば評価額は半分以下におさまる例もあります。中でもタワーマンションには、節税効果が生まれやすい特徴がいくつかありました。

タワマン節税が成り立つ仕組み

タワマン節税の仕組みを詳しく見ていきましょう。タワーマンションには、次のような特性があります。

  • 1つのマンションの土地に多くの戸数をかかえている
  • 低層階と高層階で市場価値が異なる

タワーマンションは高層建築で縦にながい構造のため、敷地面積が限られていても多くの部屋を設けられます。高層階ほど日照や眺望に恵まれ、9階以下の部屋と30階以上の部屋では、後者の方が人気が高く市場価値も上がる傾向です。

一方、相続税評価額は土地と建物に分けて算定します。1つの土地に戸数が多い物件ほど1戸あたりの持分は小さくなり、1戸あたりの土地部分の評価額も小さくなる傾向があります。しかも土地の評価額は敷地全体を持分であん分する「持分計算」で決まるため、専有面積が同じなら高層階でも低層階でも変わりません。高層階ほど価値が高いにもかかわらず、相続税の計算に市場価値の違いは反映されません。評価の仕組みに残った盲点こそ、タワマン節税を生んだ最大の要因でした。

比較する項目低層階の住戸高層階の住戸
市場での価値標準的な水準日照・眺望により高い
土地の相続税評価額(専有面積が同じ場合)高層階と同額低層階と同額
購入価格と相続税評価額の開き小さい大きい

土地の持分をもとにした評価の仕組みにより、実際の購入価格と相続税評価額は大きく乖離しました。より高層階を買える富裕層ほど有利になる不均衡が生じていたのです。

タワマン節税が見直された背景

不均衡を正すため、国は相続税評価額の新しい計算方法を導入する方針へ舵を切りました。令和5年度税制改正大綱(令和4年12月公表)をうち出した背景には、次の2点が影響していると言われています。

通達評価を否認した最高裁判決が注目を集めた

過去の裁判例では、不動産の相続財産が市場価格より低く評価される事案が目立ちました。公平な租税評価を保てていないとされ、租税回避への懸念を招いていました。

よく知られるのが、令和4年4月19日の最高裁判決です。相続人は財産評価基本通達の方法などをもとに、相続した賃貸マンション2棟を約3億3,000万円と評価しました。その結果、課税価格の合計額は2,826万1,000円となり、購入時の借入れを債務控除にあて、基礎控除後の相続税の総額は0円とされました。ところが国税側は財産評価基本通達6項(総則6項)を盾に認めず、大きな争点となりました。

判決では原告側の上告が棄却され、敗訴という結末をむかえます。対象の2棟は不動産鑑定に基づき約12億7,000万円へ再評価されました。

項目相続人の申告最高裁判決後
賃貸マンション2棟の評価額約3億3,000万円(路線価などによる評価)約12億7,000万円(不動産鑑定による評価)
相続税の総額0円2億4,049万8,600円(過少申告加算税を除く)

相続税が0円から2億円を超える金額へ膨らみ、財産評価基本通達による評価額ではなく、不動産鑑定による評価額をもとに課税された点が、大きな注目を集めました。

なお判決の対象は一棟まるごと所有する賃貸マンションで、タワーマンションの一室ではありません。「タワマン節税裁判」と呼ばれますが、物件の性質は異なります。

実際の購入価格と相続税評価額の差が大きい

従来の評価方法では、マンションの評価額が実際の購入価格と大きく乖離する事例が数多くありました。節税目的や租税回避を狙った取引を招き、公平な税収の確保という点で課題が生じます。

見直しの主な目的は「課税の公平をはかること」と「納税者の予見可能性を確保すること」の2つです。富裕層が受け取る過大な節税効果を正す狙いです。相続税には、資産の再分配を通じて、資産格差の固定化を抑える役割もあるとされています。

国税庁通達によるマンション評価方法の見直しのポイント

新しい評価方法は、国税庁が令和5年9月28日に出した「居住用の区分所有財産の評価について」という通達で定められました。価値の違いを反映させるため、計算式に「評価乖離率」と「評価水準」という指標が加わります。

新しい相続税評価額 = 敷地利用権の評価額 × 区分所有補正率 + 区分所有権(建物)の評価額 × 区分所有補正率

敷地利用権(土地)と区分所有権(建物)のどちらにも、同じ区分所有補正率をかけます。区分所有補正率は、2つの指標から決まります。順に解説します。

統計上の「乖離率」と新制度の「評価乖離率」を区別する

マンションの相続税評価額と時価(市場売買価格)の間には、しばしば大きな差が生まれる点が問題視されてきました。国税庁の実態調査では、この開きを「市場価格÷相続税評価額」という乖離率で示しています。一方、新制度で使う評価乖離率は、個別物件の市場価格を直接使わず、築年数・総階数・所在階・敷地持分狭小度から所定の算式で求めます。

統計上の乖離率 = 市場価格 ÷ 相続税評価額

国税庁の資料では、マンションの平均乖離率の推移が次のように示されています。

  • 平成28年:2.30倍
  • 平成29年:2.40倍
  • 平成30年:2.34倍

数値が高いほど、市場価格と相続税評価額の差は大きくなります。一戸建ての平均乖離率が1.66倍に留まるのに対し、マンションは2倍を超える開きが常態化していました。平成30年の調査では、評価額が市場価格の半分以下だった物件が65%を超えます。

評価乖離率には築年数などの要素がくみこまれる

評価乖離率は、通達が定める指標です。実際の売買価格は使わず、マンションの価値を左右する(1)〜(4)の要素から算式で求めます。統計上の乖離率とは別の数値である点に注意しましょう。

要素内容評価乖離率へのはたらき
(1)築年数建物が完成してからの経過年数築年数が増えるほど評価乖離率は低くなる(係数 ▲0.033)
(2)総階数指数(総階数÷33)総階数を33で割った値。1.0を超える場合は1.0とする総階数指数が高いほど評価乖離率は高くなる(係数 0.239)
(3)対象となる部屋の所在階評価する住戸がある階数所在階が高いほど評価乖離率は高くなる(係数 0.018)
(4)対象となる部屋の敷地持分狭小度敷地利用権の面積を専有面積で割った値敷地持分狭小度が高いほど評価乖離率は低くなる(係数 ▲1.195)

(1)〜(4)の要素を次の公式へ当てはめると、評価乖離率を求められます。

評価乖離率 =(1)×▲0.033 +(2)×0.239 +(3)×0.018 +(4)×▲1.195 + 3.220

数え方には細かい定めがあります。総階数に地下の階数は含めません。築年数は建物が完成した日から相続や贈与の日までの期間で数え、1年未満の端数は切り上げます。専有部分が2つの階にまたがる住戸は、低いほうの階を所在階とします。

評価水準と区分所有補正率で3つに分かれる

評価水準は、公平な評価を保つために導入された指標で、評価乖離率の逆数です。

評価水準 = 1 ÷ 評価乖離率

計算結果に応じて、区分所有補正率は次の3パターンに分かれます。

評価水準示す状態区分所有補正率
1を超える補正前の評価額が算式上の理論的な市場価格を上回る評価乖離率(評価額は下がる)
0.6以上1以下補正前の評価額が算式上の理論的な市場価格の6割以上10割以下補正なし(従来どおりの評価)
0.6未満補正前の評価額が算式上の理論的な市場価格の6割未満評価乖離率 × 0.6

通達が引き上げの対象としたのは、評価水準が0.6を下回る部分です。0.6以上1以下の場合は補正せず、1を超える場合には評価額を引き下げる仕組みとしています。大綱が示したのは適正化の方針で、0.6という水準は一戸建てとのつり合いから通達で決まりました。ここでいう理論的な市場価格は、補正前の評価額に評価乖離率をかけた算式上の値です。実際の市場価格を直接使って評価額を決める仕組みではありません。

参考:国税庁『マンションの相続税評価額と市場価格の乖離率の推移』

【実際の計算例】タワマンの評価額を求める手順

新しい評価方法でタワーマンションの評価額を求める手順を、具体例で見ていきましょう。次の条件に当てはまるマンションを題材に計算します。

  • 現行の相続税評価額(敷地利用権と区分所有権の合計):7,000万円
  • マンション築年数:5年
  • マンションの総階数:40階建て
  • 対象となる部屋の所在階:30階
  • マンションの敷地面積:5,000平方メートル
  • マンション一室の敷地権割合:1/500
  • マンション一室の専有面積:50平方メートル

手順1:評価乖離率を求める

要素を一つずつ確認しましょう。

築年数 = 5年

総階数指数 = 40 ÷ 33 = 1.212… → 1を超えるため1.0

対象となる部屋の所在階 = 30階

敷地持分狭小度 =(5,000平方メートル × 1/500)÷ 50平方メートル = 0.2

計算式に当てはめると、次の数値が出ます。

評価乖離率 = 5 ×(-0.033)+ 1 × 0.239 + 30 × 0.018 + 0.2 ×(-1.195)+ 3.220 = 3.595

例にあげたマンションの評価乖離率は3.595です。

手順2:評価水準と区分所有補正率を求める

評価水準 = 1 ÷ 3.595 = 0.278

評価水準が0.6を下回るため、区分所有補正率は評価乖離率に0.6をかけた2.157になります。

手順3:新しい計算式で相続税評価額を求める

相続税評価額 = 7,000万円 × 2.157 = 1億5,099万円

条件下での相続税評価額は、1億5,099万円です。現行の相続税評価額7,000万円と比べると約2.16倍で、8,099万円もの差が生まれます。

【比較】低層階・築古のマンションはどう変わるか

同じ算式でも、築年数と階数が違えば結果は大きく変わります。築25年・8階建ての3階にある住戸を、先ほどのタワーマンションと比べてみましょう。敷地持分狭小度は0.5、現行の相続税評価額は2,000万円とします。通達では項目ごとに端数を処理します。総階数指数は8 ÷ 33 = 0.242(小数点以下第4位を切り捨て)、(2)は0.242 × 0.239 = 0.057(同じく切り捨て)、(4)は0.5 ×(-1.195)= -0.598(小数点以下第4位を切り上げ)です。

評価乖離率 = -0.825 + 0.057 + 0.054 +(-0.598)+ 3.220 = 1.908

評価水準 = 1 ÷ 1.908 = 0.524

評価水準が0.6を下回るため、区分所有補正率は1.908 × 0.6 = 1.1448です。

項目築25年・8階建ての3階築5年・40階建ての30階
評価乖離率1.9083.595
評価水準0.5240.278
区分所有補正率1.14482.157
見直し前の相続税評価額2,000万円7,000万円
見直し後の相続税評価額2,289.6万円1億5,099万円
増える額289.6万円8,099万円

築年数が古く階数の低いマンションほど、見直しの影響は小さくおさまります。築年数は1年経つごとに評価乖離率を0.033ずつ押し下げるためです。

新しい評価方法の対象になるマンション・ならない不動産

新しい評価方法は「居住用の区分所有財産の評価」という通達で定められています。名前のとおり、住まいとして使う区分所有のマンションが対象です。自分の持ちものが当てはまるか、順に確かめましょう。

対象はタワーマンションに限らない

通達の本文に「タワーマンション」や「20階以上」といった言葉は出てきません。地階を除いた階数が3以上で、区分建物の登記がある住まい用のマンションが広く対象です。3階建てのふつうの分譲マンションでも、評価水準しだいで補正の対象になります。

対象から外れる不動産の一覧

対象から外れるもの当てはまる例
地階を除く階数が2以下のもの2階建ての低層分譲マンション
一棟のうち居住用の専有部分が3室以下で、すべてを区分所有者や親族の住まいにあてているもの区分登記した二世帯住宅
たな卸商品等にあたるもの売るために在庫として持つ物件
構造上、住まい用ではない専有部分登記の種類が店舗や事務所の部屋
区分建物の登記がない一棟所有の賃貸マンション一棟まるごと持っている物件
一戸建て区分所有ではない住まい

一つでも当てはまる物件は、今までどおりのやり方で相続税評価額を計算します。令和4年の最高裁判決で問題になった2棟はいずれも一棟所有の建物で、新しい評価方法の対象外です。低層の集合住宅や二世帯住宅が外れるのは、分譲マンションとは市場が別で売買の実例に乏しいためです。値段の決まり方が違う物件は、評価乖離率の計算式に馴染みません。

タワマン節税は令和6年以降も有効なのか

令和6年1月1日以後に相続や贈与で取得した居住用の分譲マンションには、新しい評価のルールが適用されます。ただし、タワマン節税の効果がゼロになったわけではありません。有利さと否認のリスクは、どちらも残っています。賃貸に出す物件には、令和9年から別の見直しも加わる見通しです。

評価水準0.6未満は所定の算式で評価額を補正する

評価水準が0.6を下回るマンションでは、補正前の評価額に「評価乖離率×0.6」という区分所有補正率をかけます。評価乖離率は築年数などから算出するため、実際の個別物件の市場価格に60%をかける仕組みではありません。補正後も市場価格より評価額が低くなる場合はありますが、差の大きさは物件ごとに異なります。

相続する財産相続税評価額の目安
現金金額のまま100%
分譲マンション(評価水準0.6未満)補正前の評価額×評価乖離率×0.6

総則6項による否認のリスクは残る

財産評価基本通達6項(総則6項)は、新しいルールのもとでも生きています。通達で計算した相続税評価額でも、著しく不適当と認められたときは個別に評価されます。国税庁のQ&Aも、通達で求めた金額より高い価額で評価するときがあると明記しました。最高裁判決は、通達評価額と鑑定評価額の大きな差だけでは足りず、画一的な通達評価が実質的な租税負担の公平に反する事情があるかを問題としました。節税の意図だけで一律に否認されるわけではなく、購入・借入れの経緯や税負担の軽減の程度など、個別の事情を踏まえて判断されます。

購入・売却の時期だけでなく取引全体の事情に注意する

前掲の最高裁判決では、相続税の総額が0円になるほど負担が軽くなった点と、負担を減らす狙いで計画した点が重く見られました。最高裁判決の事案では、被相続人が90歳前後で不動産を購入し、相続からおよそ9か月後に一部の不動産を売却していました。ただし、最高裁がこれらの時期だけを理由に否認したわけではありません。近い将来の相続を予想し、相続税の負担を減じることを意図して購入・借入れを企画・実行したことや、その結果として相続税の負担が著しく軽減され、他の納税者との間に看過し難い不均衡が生じたことなどが判断の重要な要素となっています。

相続前5年以内に取得した賃貸マンションは令和9年から評価が変わる

賃貸に出している不動産には、もう一つの見直しが控えています。令和8年度税制改正の大綱を受け、国税庁は令和8年9月に「貸付用不動産の評価について」という通達の案を公表しました。相続や贈与の前5年以内に購入または新築した貸付用不動産は、路線価や区分所有補正率を使った評価ではなく、相続や贈与の時点の通常の取引価額で評価する内容です。取得価額が取得時の通常の取引価額にあたると認められる場合は、取得価額に地価の変動や建物の減価を反映した金額の80%で評価できます。

適用は令和9年1月1日以後の相続・遺贈・贈与からとされています。相続の直前にタワーマンションを買い、賃貸に出して評価額を下げる手法は、この見直しの影響を直接受けます。通達案は意見公募を経て確定するため、対象の範囲や適用されない場合の扱いは、確定後の通達で確かめてください。

新ルールを踏まえた相続対策の進め方

タワマン節税の効果はゼロになりませんが、以前より小さくなりました。すでに持っている人と今後買う人に分けて整理します。

すでにタワーマンションを所有している場合

  • いまの相続税評価額と、新しい評価額の差を先に試算しておきましょう。総階数や所在階、築年数、敷地の持分が分かれば見当はつきます。
  • 評価額が上がれば、相続税の総額も納税資金の必要額も増えます。申告と納付の期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月と短く、現金や保険で賄えるかを早めに確かめてください。原則として金銭で一括納付しますが、一定の要件を満たす場合には延納や物納も利用できます。
  • マンション一室は分けにくい財産です。遺言や代償金の用意など、分け方の道すじを先に決めましょう。

今後タワーマンションの取得を考えている場合

  • 買う前に評価乖離率と評価水準を確かめます。評価水準が0.6を下回る物件ほど、補正の影響は大きくなります。
  • 節税だけを目的にした購入では、新しい評価方法のもとで効果が大きく減ります。住む目的や貸す目的をはっきりさせてください。賃貸に出す目的で買う場合は、取得から5年以内に相続が起きると、令和9年1月1日以後は通常の取引価額をもとに評価される見通しである点も計算に入れてください。
  • 多額の借入れで評価額を圧縮する組み立ては、個別の事情によって総則6項が適用される可能性があります。特に、相続が近いことを予想したうえで、相続税負担の軽減を主な目的として取得・借入れを行うなど、最高裁判決で問題となった事案と類似する事情がある場合には注意が必要です。
  • 生前贈与を選ぶ場合も、令和6年1月1日以後の贈与は、通達の対象となる居住用の区分所有財産については新しい評価方法の対象です。

タワマンの新しい評価額が適用されるタイミング

新しい評価額は、令和6年1月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得した財産へ適用されます。物件をいつ買ったかは関係なく、財産を取得した日で判定する点に注意しましょう。令和5年中に相続が開始し、令和6年に申告するケースは対象になりません。

なお評価乖離率の算式と0.6という数値は、通達上、適時見直しを行うものとされています。いまのうちから相談できる専門家を探すなど、事前の準備を進めておきましょう。

タワマン節税に関するよくある質問

昔から持っているタワーマンションも新しい評価の対象ですか

買った時期は問いません。令和6年1月1日以後の相続や贈与で取得した部屋は、通達の対象なら新しい評価方法に変わります。経過措置はないため、10年前に買った部屋でも相続がまだなら新しい相続税評価額で計算します。

生前贈与にも新しい評価方法は使われますか

贈与にも使われます。通達が対象とするのは、相続・遺贈・贈与で取得した財産です。令和6年1月1日以後の贈与なら、新しい相続税評価額で計算します。贈与を急いで古い評価のまま渡す方法は、すでに残っていません。

新しい評価方法で相続税評価額はどのくらい上がりますか

上がり幅は部屋ごとに大きく違います。高い階で築年数が浅いほど、評価乖離率は大きな数字です。評価水準が0.6を下回る部屋は、補正前の評価額に「評価乖離率×0.6」をかけて評価します。物件によってはもとの相続税評価額の2倍を超える場合もあります。

低い階や築年数の古いマンションも影響を受けますか

影響を受ける部屋と受けない部屋に分かれます。評価水準が0.6以上1以下なら補正はなく、相続税評価額は今までどおりです。築年数が古く敷地の持分が広い部屋は、評価水準が1を超えて評価額が下がることもあります。地階を除く階数が2以下の低い建物は、はじめから対象外です。

人に貸しているタワーマンションはどう評価されますか

先に区分所有補正率をかけ、あとから貸家と貸家建付地の定められた評価方法を適用します。賃貸に出していても補正から外れる道はありません。建物にかかる借家権割合3割の減額は、補正後の金額に今までどおりききます。ただし、相続や贈与の前5年以内に取得・新築した貸付用不動産は、令和9年1月1日以後の相続等から、通常の取引価額をもとにした評価へ変わる見通しです。詳しくは「相続前5年以内に取得した賃貸マンションは令和9年から評価が変わる」をご覧ください。

新しいルールを理由に売ったほうがよいですか

売って売却代金を現金や預貯金として保有すると、原則としてその金額が相続税評価額となります。評価の面だけを見れば、持ち続けるほうが有利な形は残っています。ただし相続税は原則として10か月以内の現金一括納付です。一定の要件を満たせば延納や物納を利用できる場合もあります。ただし、総則6項の適用は売買の時期だけで決まるものではありません。取引の経緯や税負担の軽減の程度などを踏まえ、個別に検討する必要があります。

参考:国税庁『居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通達)』

おわりに:これからのタワマン相続対策は新基準にあわせて

相続税評価額と市場価格の差に目をつけ、節税にいかされてきたタワマン節税。令和6年1月1日以後の相続や贈与、遺贈では、従来の評価方法に加えて評価乖離率などを用いる新しい評価方法が適用され、実態に即した計算方法へ改められました。物件の取得を考えていた方は、新しいマンション評価方法のもとでも支障が出ないよう手を打つ必要があります。ただし自分だけで情報を集め、法的な解釈まで行うには限界があります。

千代田悟志税理士事務所では、相続税の申告や生前の相続対策についてご相談を承っています。マンションの相続税評価額の算出では、評価乖離率と評価水準の判定が必要です。加えて小規模宅地等の特例など、他の制度との兼ね合いも見極めなければなりません。個別の事情によって最適な進め方は変わります。

もし相続に関する判断や手続きで迷うことがあれば、相続税に詳しい千代田悟志税理士事務所へお気軽にご相談ください。

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